29 July, 2011

Facebookにおけるアプリの価値について考えてみる





本日気になったニュースから考えたことを整理する意味でブログに。

考えるきっかけとなったのは、本日Twitterで流れてきた、@tokurikiさんの以下のツイート。

台湾Facebookページのファン数1位はセブンイレブンで、なんと140万人。継続的にキャンペーンアプリを数十個作ってファンを集めたそうです。最終的には日本もこうしたアプリの開発合戦になるんですかね。 http://ow.ly/1v5M3o #smskansailess than a minute ago via HootSuite Favorite Retweet Reply



今日、このアプリ開発競争が日本で起こるのか、それがどんな結果をもたらすのかをずっと考えてました。

ちなみに、僕はこのツイートをみたとき、すごいと思ったのでRTしました。
台湾は日本よりFacebookユーザーが多いとはいえ、それでもまだ1000万人ほど。
その中で140万人を獲得しているというのは確かにすごいことです。

アプリやばいなぁー、と。

しかし、その後ある記事をRSSで発見し、少しその考えを改めました。
本日かなりのバズが起きていたその記事で以下のように、FacebookユーザーのFacebook内におけるそれぞれの機能の利用時間の内訳が明らかになったのです。



上の図から分かるようにその内訳はニュースフィード27%,プロフィール21​%,写真17%,アプリ10%,その他25%といった形。

つまり、どれだけFarmVilleが凄いとはいえ、アプリに使われている時間は全体の10分の1に過ぎないのです。

もちろん、その10%は、そこに特化しているZyngaなどがIPOできるほど強力な10%ではあるのですが、その10%を取るために、特に顧客とのコミュニケーションを目的にFacebookページを開設するような企業がアプリを開発することは果たしてペイするものなのでしょうか。

日本がFacebook後進国であるとはいえ、アプリの利用時間がこの数値から大きく上昇することは考えにくいのではないかと個人的には思います。
なぜなら、日本におけるFacebookが、Facebook上にソーシャルグラフが形成された後にアプリが始まったアメリカと異なりソーシャルグラフが形成されていない状態で既にアプリを使える環境にあるとはいえ、そのサービスの思想上、アプリで遊ぶためにFacebookを使うわけではないからです。

そのような条件下で、アプリの開発競争が加熱すると(数値的な)結果が出ないばかりか、数値は上昇したとしてもその企業とさして関係のない(うすい)ユーザーばかりが集まり、表面上の数値が高いだけで全く盛り上がらないFacebookページになることは間違いないのではないでしょうか。

現状でも新規登録時のサジェストやFacebook広告でファンの数を増やすことはできるのですが、それらはほとんどのケースでコミュニケーションの活性化に繋がっていません。

もちろん、ターゲットにあったアプリを展開し、ファン数を増やしながらコミュニケーション量(いいね!数、コメント数)を拡大できればいいのですが、それは競争の加熱によって間違いなく難しくなります。(現状の台湾セブン・イレブンはそういった点でも成功しているようですが。)

従って、個人的にはいかにアプリを活用し、ファンを増加させることでコミュニケーションの増加を狙うよりも、ユーザーがアプリの3倍利用しているニュースフィード上でのコミュニケーション(ウォールでのコミュニケーション)の質をいかに向上させていくかを考えるべきと思います。

なぜなら、ファンとのエンゲージメントを築くという点でもこれが最も重要な点であり、これこそがFacebookの最大の強みとなる点だからです。

ファンさえ集まればオッケーなら旧来のマスメディアの機能と同じであり、そこから一歩進んでコミュニケーションをとろうとしてもそれをうまく行うことができなければ情報の伝播力に勝るTwitterを使った方がいいでしょう。

TwitterにないFacebookの最大の強みはエッジランクです。(詳しくは→『』Facebookをマーケティングで使う上で知っておくべき18のこと
Twitterでは、たとえつぶやきを投稿したとしてもその投稿が流れてしまうとその情報がみられる確率はほとんどなくなってしまいますが、重要な情報が確実に伝わるような仕組みをとっているFacebookではFacebookページ上でのコミュニケーションの回数が増えれば増えるほど、そこでコミュニケーションを行ったファンには確実にそのFacebookページの最新情報が表示されるようになります。

それは、ファンをより親密なファンへと変えられる可能性を示唆しており、それがFacebookというプラットフォームの革新的な点です。


ということで、Facebookアプリの話からだいぶ脱線しましたが、結論としては、

・数を求めてアプリ開発!なんて起こらないことを祈ってやまない。そもそも数だけを追うのはやめてほしい。
・それよりも質を高めるかを考えてほしい。それが最も重要であり、Facebookの価値だと思う。
・質を念頭においたアプリの活用はありかもしれないが、使ってもらうのは大変なのでは。。

といったところ。

そもそもFacebookが生まれたアメリカにおけるFacebookアプリ開発のピークは2007年から2008年頃のことであり、とうの昔に過ぎています。(StanfordでCSを専攻している学生に聞いた話。)

今はむしろFacebook上のソーシャルグラフを(Facebookコネクトを使って繋ぐことで)いかに外部で活用していくか、というフェイズにあります。

もちろん、日本のFacebookにはそこまでのソーシャルグラフは形成されておらず、かつHTML5など可能性が広げる技術が広まろうとしているなど置かれている条件は違うのですが、アプリをするためにFacebookをしにきているのではない、という点は変わらないと思うのです。

いろいろ考えがあっちこっちへ行ってしまいましたが、考えるきっかけを作ってくださった@tokurikiさんに感謝!!:-)


【参考】
CHART OF THE DAY: Facebook Users Barely Ever Use Facebook Apps



※こちらの記事はTMHブログポータル(http://www.tribalmedia.co.jp/blog/)の方にも転載いただいております!
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