12 November, 2012
Lady Gagaのマネージャーが考えるソーシャルメディアのこれから
Twitter、Facebookで最も多くのフォロワー、ファンを抱えるアーティスト、Lady Gagaのマネージャーを務めるTroy Carterをご存知でしょうか。
彼はインターネットによる構造変化に苦しむ音楽業界を変えるだけでなく、シリコンバレーのスタートアップへの投資にも積極的に関与しており、エンターテイメントとテクノロジーを繋ぐ存在として注目されています。
そんなTroy CarterにThe Guardianが行なったインタビューにおいて、彼の考える音楽業界やソーシャルメディアのこれからが語られており、非常に面白かったのでご紹介。
1. 音楽ビジネスのこれから
多くのアーティストが収益を上げるのに苦労しているのを尻目に”音楽業界は今、これまでで最も健康的な状態であり、こんなタイミングに業界に身を置いているのは素晴らしいことだ”と語るCarterは、現在の音楽ビジネスを”これまでのようなアルバムによるビジネスではなく、かつてのシングルによるビジネスに回帰している”と見ており、その背景として”人々がSpotifyやPandora、Rdioのようなストリーミング、サブスクリプションサービスで音楽と接するようになっていること”を挙げています。
また、”無料で質のよい音楽が聴けるのであれば自然と違法ダウンロードのような問題も自然と収束していくだろう。”とも考えているようです。
そういった変化を鑑み、リリースが予定されているLady Gagaの次のアルバムはアプリとして販売されることになっており、楽曲だけでなく、全ての楽曲のPVやインパイアされたゲーム、ファッション情報、雑誌的なコンテンツなどまで提供されるのだとか。
2. これからのファンとの関係性の結び方とソーシャルメディア
”いいね!はとても受動的な関係であり、いいね!はファンと必ずしも同義ではない。”と考えるCarterは”5400万人の必ずしもファンでない人々よりも100万人の筋金入りのファンの方がより重要だ。”と語り、Facebookといったソーシャルメディア上の数は全く重要視していないようです。
彼とLady Gagaが独自のSNS、littlemonsters.comを始めた背景には、”ソーシャルメディアのこれからはそれぞれの興味・関心に基づいたミクロなネットワークやコミュニティにある”という考えがあり、熱狂的なファンに関して、いつファンになったのか、他にどのような音楽を聴いているのか、といったファンの行動に関する詳細な情報を得ることで音楽業界におけるこれからのCRMのあり方を模索しているようです。
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インタビュー内で”もう交通手段として馬を見る人はいないのであり、世の中は変化している。ビジネスはそれに対して適切に順応していかなければならない。(People don’t buy horses to ride around any more for transportation. I just think the world changes. As a business, we have to make the proper adjustments.)”という言葉があったのですが、これは本当にどの業界にも当てはまる言葉ではないでしょうか。
変化に抗うのではなく、受け入れ変化する姿勢を忘れたくないものです。
Troy Carterについては先日のWIREDでも特集がありましたので、ご興味ある方はそちらも非常にオススメです。→”レディー・ガガのソーシャル帝国を操る黒幕、トロイ・カーターという男”
ちなみに先日、大変お世話になっている前職の先輩が日本の音楽業界のこれからについて提起する本を出版されました。「日本の方はこれからどうなっていくんだろう?」という方は是非読んでみてくださいませー:)
【参考】
Troy Carter interview: Lady Gaga's manager on the future of social media | Media | The Guardian
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