19 July, 2011
広告に学ぶ心理学
私たちはみな一日に、TVCM、看板広告、ウェブサイトバナー、Tシャツなど、様々な媒体を通じて、3,000から10,000のブランドを
目にしています。そのような状況の中、マーケターたちはアテンションを得るために心理学の知見などから様々なトリックを使っているらしいのですが、今回はその内実をもはやおなじみ『BuySellAds.com』のインフォグラフィックから迫ってみたいと思います。
【広告と心理学をつなげた3人の学者たち】
Harlow Gale:
彼は最も初期に広告というトピックに取り組んだ心理学者の一人です。
彼はミネソタ州の企業に広告がどのように扱われているかを調べるための質問票を送付しましたが、10%しか回答が返ってきませんでした。しかし、そのような対応もその後変わっていきました。
Walter Dill Scott:
彼は、「The Theory and Practice Of Advertising(広告実践における理論)」という本を出版し、人々は暗示にかかりやすく、かつ従順であると主張しました。
John B. Watson:
彼は効果的な広告とは"Love", "Fear", "Rage"という3つの感情のどれかに訴えるものであると主張しました。
彼はまた、著名人によるお墨付きや、デモグラフィックデータに基づきターゲッティングを行うマーケットリサーチの手法を信じていました。
【今日、マーケターがあなたにターゲッティングするべく行っている手法】
"感情に訴える"
ブランドは消費者に行動を促すべく、甘い言葉をささやきます。
ほとんどの広告は、消費者の感情に訴えかけ、商品を想起させます。
"割引"
人々はいつもいい取引を求めています。
ディスカウントを明示する広告は人々を行動に促す簡単かつ強力な方法です。
"リスク回避アプローチ"
「フリートライアル」というのは非常に効果的な方法であると証明されています。
無料というのは広告において最も強力な言葉のひとつであり、それによって顧客は毎日新たな商品を試すよう誘惑されています。
”タイムセール”
顧客に締切りを意識させること、供給を意図的に減らすことは行動を誘発させます。
時間的プレッシャーを与えることは電気製品のような高価な製品においては最も効果的な方法であることが研究においても実証されています。
"証言"
「本当に効きました」などの証言広告は顧客にそれに費やす時間は無駄にならないという証拠を与えます。
最も効果的な証言広告は顧客が考えそうな反論に先回りし、もたれそうな疑問に答えるようになっています。
"結果を示す"
便益をクリアに明示することは結果志向の消費者に効果的にターゲットすることができます。
また、商品がもたらす結果を示すことによって、それをどのように使うのかといった情報も伝わることになります。
"私のように"
よく知られた有名人が商品について語ることはその商品の信頼性を高めることに繋がります。
顧客はよく知らない会社よりもよく知られた有名人の言葉を信頼します。
"あなたの知っている人がこの商品を好んでいます"
「あなたの友人が使っています」というソーシャルセリングというのは強力な広告手法です。
顧客は有名人の言葉よりも友人の言葉を信頼します。
【ブランドが潜在意識に語りかける5つの方法】
現在では、宣伝コピーや裏付けといった手法に消費者は慣れてしまっています。
それに対し、マーケターは消費者の潜在意識に入り込む新たな手法を駆使しています。
1. ロゴに話しかけさせる
ブランドロゴを消費者に浸透させることは大きなインパクトがあることが研究によって判明しています。
ロゴを観ると、人々はそのブランドのイメージを想起し、そのイメージにそった行動をするようになります。
「Appleは人々をよりクリエイティブにする」
AppleあるいはIBMのロゴを被験者に見せ、レンガの使い道を考えつく限り列挙させる実験を行うと、Appleのロゴを見た被験者の方がよりクリエイティブな回答をすることがわかった。
2. 製品とよい感情を結びつける
商品を花や日光のようによいイメージを想起させるものに囲ませることによって、その製品に対してポジティブな感情を抱くことが
実証されています。
「Feel-Goodペン」
被験者は二つのブランドのペン(一方が性能的には優れている)について説明を受け、性能の悪いペンのブランドがポジティブな
ものと組み合わせられた画像を見せた後、どちらかのペンを選んでもらうという実験では、その画像を見せなかった場合、ほぼ確実に
性能のよいペンが選ばれたのにに対し、その画像を見せると70-80%の確率で性能の悪いペンが選ばれた。
3. より買いたくさせる
ラグジュアリーブランドを多く見せることによって、消費者はより大きな購買をしやすくなる。
「よりリッチな感情を呼び起こす」
被験者に60ミリセカンドのワードフラッシュを見せた後、$6のNikeのソックスあるいは$5.25のHanes(より庶民的なブランド)のどちらかを選ぶ実験を行ったところ、"Tiffany"といったラグジュアリーブランドの単語を見た被験者は、"Wallmart"などの庶民的ブランドの単語を見た被験者に比べ、前者を選ぶ確率が高かった。
4. 記憶を思い起こさせる
広告は人の記憶を変形させる力があることがわかっている。
犯罪の目撃者が彼らが見ていないものを見たと信じてしまうのと同じように、消費者は記憶を改変させることがある。
記憶というものは非常に影響を受けやすいものであるゆえ、広告主は商品に関する悪い経験を忘れさせることができる。
「ミーティング・ミッキー」
ディズニーの”Remember the Magic”の偽広告を使った実験では、被験者グループの内、ディズニーのテーマパークでディズニーキャラクターに会ったという被験者を除いた上で、その広告を見せると彼らは実際に、ミッキーとは会っていないにも関わらず、90%の被験者は自身がミッキーと会ったという自信を増した。
5. 過度の刺激を与える
最近のお店は大音量で音楽をかけるようになっている。
これは、過度に刺激を与えることによって購買衝動が高まることが分かっているからです。アバクロはクラブミュージックを大音量で流すことによって、感覚に負担をかけ、自己コントロールを弱めています。
異なる音楽はそれぞれに違う反応をもたらします。
「購買を促進するための音楽」
曲調が与える影響:レストランにおいて、スローテンポな曲調の音楽をかけると、夕食がより長いものになり、またデザートや
ドリンクなどを注文しやすくなる。
それぞれの国の音楽の影響:ワインストアにおいて、フランスの音楽をかけるとフランスワインがより売れ、ドイツの音楽をかけると、ドイツワインが売れる。
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個人的にはいろいろと興味深い情報がたくさんありました。どのように行動を促しているのかはマーケター見習いとして知っておくべきことですし、逆に行動を操作されていないかを確認する意味で広く知られておくべき話かなぁとも。
ちなみに、この分野の理論をより深く知る上では、『影響力の武器』が非常にお薦めです。
インフォグラフィックの全体像は以下のリンクより確認くださいませ。
【参考】
『The Sneaky Psychology Of Advertising』
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※こちらの記事はTMHブログポータル(http://www.tribalmedia.co.jp/blog/)の方にも転載いただいております!