27 July, 2011

『The Economist』のクリエイティブなカバーを眺めてみる





地味に当ブログの人気コンテンツとなっている『眺めてみる』シリーズ。
(過去記事;『CreativeなFacebook landingページを眺めてみる』、『Appleの歴史を広告とともに眺めてみる』)

第3弾は、世界中の知識層に愛読されている経済誌、『The Economist』から。

『The Economist』はその質の高い記事で出版不況とは無縁の存在にあるのですが(『The Economist』の素晴らしさについては@yokokloedenさんの『The Economistを読もう!』に詳しいです)、毎回のクリエイティブなカバーも大きな魅力だと思っています。
例えば、2009年の日本の衆議院総選挙にて民主党が勝った際には以下のようなカバーでした。



今回はそんな『The Economist』のカバーの中からスタッフが気に入っているというクリエイティブなカバーをいくつかご紹介。


■"The trouble with mergers"



いきなり物議を醸しそうですが、こちらはクライスラーとダイムラーの合併について扱った1994年7月のカバー。他にハイエナやサイも候補だったそうですが、最終的にラクダに落ち着いたのだとか。ちなみに非常によく売れたものの、アメリカでは苦情が殺到、またサウジアラビアでは販売禁止になったらしいです。笑

■"The trouble with mergers"



The Economistのカバーに誰よりも多く採用されているKevin Kallaugherの作品。The Economistに言及される際にも最も使われている表紙だとか。

■"Drowning in oil"



このカバーは1999年当時、下落が続いていた石油価格について書いた号のものだったのですが、その後、The Economistの予測とは反対に石油価格は145ドルまで上昇していきました。その教訓として、強く印象に残っているカバーのようです。

■"Greetings, earthlings"



2000年6月、韓国と北朝鮮の南北首脳会談が実現した際のカバー。”Greetings, earthlings(地球のみなさん、こんにちは)”とはなんともシニカルなコピー。

■"Why Silvio Berlusconi is unfit to lead Italy"



イタリアのベルスコーニ首相を痛烈に批判した号のカバー。イタリアマフィアのような風貌のベルスコーニ首相の写真が見事。
外国メディアが彼について深く言及したのは初めてだったようで、今もイタリアでは人気のカバーなんだとか。

■"Rwanda, remembered"



ルワンダ国民の10-20%が虐殺されたとされるルワンダ大虐殺から10年を綴った2004年の号のカバー。
ルワンダ大虐殺は、The Economistのチームも真相を掴み、報道することができなかったのだとか。
そのような過去を忘れないため、多く売れたわけではないものの重要なカバーのようです。

■"Germany's surprising economy"



ドイツの経済が今後回復していくのではないかと予測した2005年の号のカバー。ドイツメディアの間でも広く議論を呼び、その後のドイツ経済の進展によって、The Economistの予測は正しかったことが立証されました。

■"After the fall"



2005年当時、急上昇が続いていた住宅価格に対して警鐘を鳴らす号のカバー。
素晴らしい洞察です。

■"Terrorism: London under attack"



ロンドンでのテロ事件を受けて、急遽変更された号のカバー。
シンプルかつ、効果的に何が起きたのかを伝える素晴らしいデザインです。

■"Hurricane Katrina: The shaming of America"



こちらはカトリーナ後のニューオーリンズの状況をレポートした号のカバー。このカバーには苦情が殺到しましたが、それはまさにカトリーナのインパクトの大きさを物語る何よりの証拠だったとのこと。

■"The credit crunch: World on the edge"



金融恐慌についてレポートした号のカバーとなったのがこちら。
そのインパクトについて考えたい識者からの支持を受け、多くの部数を発行する号となりました。

■"Brazil: Brazil takes off"



個人的に今回紹介するカバーの中で最も気に入っているのがこちらのカバー。(このカバーに釣られて実際に買ってしまったので。)
ブラジル経済の明るい展望についてレポートしたこの号はブラジルはもちろんのこと、アメリカでも大きな注目を集めたのだとか。この表紙は顰蹙を買うのではないかと心配されましたが、苦情は1件しかなかったらしいです。

■"Gendercide"



少女虐殺の現状について扱った号のカバー。ヘミングウェイが自身の最高傑作と称する'For sale: baby shoes, never used.'という言葉にインスパイアされた作品だとか。
怖い...。

■"Shifting sands"



中東で相次いで起こった革命について扱った号のカバー。
ムバラク元大統領が砂漠に飲まれていく様子を描いたもの。

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他にも毎回、非常に興味深いカバーの『The Economist』、いつも非常に勉強になりますので是非読んでみてください。
文章、内容ともに難解で大変ですが、得られるものも非常に大きいです。
(僕ももっと読めるようになりたい><)


【参考】
These Are The Economist Staff's Favorite Covers From The Past 20 Years

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