23 May, 2011

現在のITにおけるBubblyな状況に対するメディアの知見 - The Economistより





最近、IT業界が再びバブル状態になっているという話がよくあります。(→『The Startup › Facebook関連バブルは2012年内に崩壊する!?』など秀逸なので是非。)

それに関するThe Economistの記事が個人的にとても勉強になったので抜粋してご紹介。

■The Economist 
Silicon Valley and the technology industry: The new tech bubble

歴史は繰り返されるのかという質問に対し、”No”と答える人々は、その根拠としてテクノロジーの状況が以前のバブル期とは全く異なっている点を指摘する。
その当時のインターネットユーザーというのは少なかったが、今のそれは20億人に達しており、その中には中国などようやくインターネットが届いたようなマーケットも含まれる。
また、インターネットの速度に関しても、超高速インターネット回線が現在では既に一般化している。
そして、前回のネットバブルでは野望は大きけれど収入はほとんどないようなstartupばかりだったが、今日ではGrouponやZyngaのような新興企業が莫大な収益をあげ、黒字化を成し遂げている。

”今回は違う”という人々はさらに、前回のバブルは数多くのウェブ関連企業が上場し、それを正しく判断できない投資家たちが株価を高騰させたがのちに拡大したが、今回は大きなインターネット企業のごく少数がIPOしたにすぎず(それは変わりそうだが)、前回ほどの熱狂は見られていないことを指摘する。テクノロジー業界の指標となるNASDAQのインデックスは上昇しているが2000年ほどではないのは確かだ。

確かに、楽観主義者たちの見方は一面では正しい。確かに ”今回は違う。”なぜなら現在進行中のバブルはかなり法外なプライベートマーケットで起こっており、前回と異なりグローバルな要素を持っているためである。

今回のバブルは豊かなエンジェル投資家たち(中には90年代のIPOブームによって財を成した者も含まれる)によってもたらされている部分がある。彼らの資金力は増大しており、彼ら次代のスタートアップの株を巡って互いに争っており、取引を成立させるためにデューデリジェンスで手抜きをしてしまう場合もあるようだ。(中略)

今回のブームは前回よりもより広範な視野を持っている。今回のバブルはまず間違いなくロシアの投資家から始まっている。Skypeはエストニア生まれであり、ファインランドのRovioが開発した”Angry Bird”は4200万ドルの資金調達に最近成功した。さらに中国では”中国版Youtube”RenrenとYoukuがそれぞれ莫大な額の資金調達を成し遂げており、中国のweb startupはその初期の資金調達においてもアメリカの同等のスタートアップをはるかに超える150-200万ドルのバリュエーションを見込まれているような状況にある。

このような差異は重要な結果をもたらす。第一に、プライベートマーケットで作られた巨大なバブルはパブリックマーケットがアクセス可能になる頃にはかなり巨大になる可能性がある。Facebookは次のGoogleとなるかもしれないし、LinkedInはかなり固い収益計画を持っているがその後には非常に怪しい”FacebookやLinkedInになりたいものたち”が待っており、それらの価格は既にエンジェルたちによって高騰してしまっているのでないだろうか。

中国のweb業界におけるバブルは他の場所における現実的でないバリュエーションをもたらす可能性がある。そしてバブルを崩壊させる可能性が高いのは中国である。中国企業の株を買いあさっている者の中に検閲が厳しい中国の政治的リスクを考慮しているものはほとんどおらず、有望企業に対する取締が投資家たちを驚かせ、一気に株が売却させてしまい、バブル崩壊をもたらすというケースも想定される。

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さすがThe Economist、普段僕が見るようなブログやニュースとは見方が異なっていたのですが、パブリックでないところでお金が回っている現状をバブルといってもしょうがないという点はなるほどと感じました。そういった意味ではまだ現時点ではバブルとは呼べないのかも。
また、中国の動向はまだまだ僕もキャッチアップできていないのでしっかりとフォローしていきたいところでした。


にしてもThe Economistの記事は読むのはまだしも訳そうとするとしんどい。。
カチッとした英語に対する慣れが必要だと実感しました><


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