22 May, 2011

実名webか匿名webか - それぞれの思想とメリット





Mashableに実名あるいは匿名でのネット利用がもたらす意義やメリットについてまとめた興味深いインフォグラフィックがあったのでご紹介。

Team Transparency(実名web派)とTeam Anonymity(匿名web派)に分かれており、実名web派の著名人としてFacebookファウンダーのMark Zuckerburg、匿名web派の著名人として4chanを立ち上げたChristopher Pooleが挙げられています。(アメリカにおける4chanの影響力については@Lilaclogさんの『何故Justin Bieberは米国匿名掲示板で叩かれるのか-米国版2chと格差社会 - My Life After MIT Sloan』の記事などを参照ください。)

今回のインフォグラフィックはかなり巨大なので、以下に面白かった部分のまとめと思ったことをば。

まず、それぞれの考え方やメリットについて。

【実名web派】
実名web派、Mark Zuckerburgの考え方
『個人のアイデンティティーはひとつであり、二つのアイデンティティーを持とうというのは誠実さに欠けている。』

実名webのメリット
・責任の所在を明らかにし、正邪を判断しやすくなる
・コンテンツとそれを生み出した人を結びつける
・インターネットにおける誹謗中傷などがなくなる

実名webによって利益を受けられる人
・コンテンツを生み出しており、それに対する"Credit"を入れておきたい人
・セルフ・プロモーター

【匿名web派】
匿名web派、"moot"の考え方
『実名でwebを利用することによる失敗によるコスト(誹謗中傷など)は非常に高く、それによって遠慮がちになったり、議論を呼ぶような視点を提供することができなくなってしまう。』

匿名webのメリット
・躊躇なく意見を表明できる。
・クリエイティビティーや実験を活性化させる
・(あの人がいうから、といった評価ができないため)本質的な価値によって共有がさせるようになる

匿名webによって利益を受けられる人
作ったものの本質的な価値を重視するクリエーター
共有によるコラボレーションを行いたい人々
匿名性を保持していたい内部告発者

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僕は実名のメリットというのは非常に大きくなってきていると考えており、名前と顔や住んでいるところ、勤務先などを明らかにしている通り実名派に属する方なのですが、日本語での実名や過度な個人情報のオープンな公開は控えるようにしており、匿名派の意見にも共感するところはあります。

双方にメリットや利益を受けられる人が存在する以上、おそらく、webが完全実名な世界になることはないでしょうし、これからまた完全匿名な世界に戻ることもないのではないでしょうか。

ただ一点これから変わっていって欲しいなと思うことは、『失敗のコスト』の部分。
@IHayatoさんに以前教えていただいた言葉に、セス・ゴーディンの「あなたは誰かの心を乱して(annoy)いますか?それは世界を変えている証拠です」というのがあったのですが、実名で論争を呼ぶような記事を執筆される、@sayuritamakiさんのような人は今でもいらっしゃいますし、それができる人が是非増えていって、そのようなことができる雰囲気を作っていきたいところです。(そんなにcontrovercialな情報を発信していない僕なのですが。。)

また、両者を交差する存在として『Wikileaks』を見ると非常に面白かったり。
Wikileaksは社会の透明性を高めるというミッションを自身は匿名性を保持しながら行うという逆説的なアプローチをとっています。(もちろん、そのミッション故というところもありますが。)

ネットも含め、社会に存在するあらゆるものはそこにいる人の思想、行動に沿うように発展していくわけで、その意味でどのようなマインドでネットを使うか、使っているのかというのは重要な見方ですね。



Kenichi Nishimura (@nike1125)をフォロー

※こちらの記事はTMHブログポータル(http://www.tribalmedia.co.jp/blog/)の方にも転載いただいております!
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