24 April, 2011

アマゾンに起きたクラウドコンピューティング上の障害が今後もたらす3つの影響



19日あたりから20日にかけて起こっていたアマゾンのクラウドコンピューター上の障害が今後もたらす影響について、New York Timesの考察が素晴らしかったので解釈を加えつつ、ご紹介。(元記事→『Amazon Malfunction Raises Doubts About Cloud Computing』)

クラウドコンピューティングはここ数年のweb上における大きなトレンドのひとつ。調査会社IDCによると、クラウドコンピューティングの市場は年率25%での成長が見込まれ、2014年までに550億もの規模をもつ市場になると予測されています。特に、アマゾンはその中でもトップのポジションを取ってきていました。

しかし、今回アマゾンを襲った障害は様々な点でクラウドコンピューティングの今後に影響を与えることになると思われ、特に以下の3つの点が挙げられます。

1. クラウド上に置くデータの再考

ここ数年、データセンター管理にかかる金銭的、運営的コストを削減するべく、クラウドコンピューティングを利用し始めていました。今回の障害はそのようなクラウドコンピューティングを利用していた企業に対し、何を離れたクラウド上に置き、何を自社内で持っておくかを考え直させるきっかけとなると思われます。さらに、保証や修復、バックアップなどに関する議論も活発になることでしょう。


2. スタートアップのスピードの減速

クラウドコンピューティングに非常に依存していた企業の中には多くのスタートアップが含まれています。事実、FoursquareやQuora、Hootsuitといった有望なスタートアップが軒並みダウンする事態となっていました。クラウドコンピューティングはスタートアップがより自身の成長に注力していく上で非常に大きな役割を果たしてきていましたが、おそらく今後はそのデータバックアップや管理などにもリソースをケアしなければならなく可能性があり、その意味でスタートアップに減速をもたらすことになると思われます。


3. 従来と異なるクラウドコンピューティングサービスの提供

クラウドコンピューティングのマーケットが拡大するにつれ、アマゾンとは異なる形態でクラウドコンピューティングサービスを提供する企業も増えており、”プライベート・クラウド”のような自社内にクラウドを構築するサービスも台頭していくと思われます。(→『プライベートクラウドとは (private cloud): - IT用語辞典バイナリ』)

個人的に、今回の件にあたってはQuoraのサイト上にあった言葉、"AmazonのEC2サービスがなければはわたしたちのサービスはここまで来ることはできなかったのです。"という言葉が非常に印象的でした。



今回の経験を経て、どのような『クラウド化する世界』が生まれていくのでしょうか。

Facebookページを作ってみたので是非そちらで意見をいただければと思っています!
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